津軽の自然を象徴する岩木山。季節による表情を変える、圧倒的な大自然を五感で感じることができます。岩木地区での暮らす人々もまた、自然の中で生きるために色々な工夫や知恵、時には苦労をしながらも、岩木山の恵みを受け取るこの地で生きています。
春
日本有数の観桜スポットである弘前公園の桜よりも一足遅れて、標高が高い岩木山麓の桜が咲き始めます。岩木山麓の桜はかつて岩木町だった時代に町民が「世界一を目指そう」というキャッチフレーズの元、町民自らの手で当時約6500本の植樹を行い、現在も「世界一の桜並木」として親しまれています。桜は「オオヤマザクラ」という種類で、他の桜スポットとは異なる奥ゆかしさ、春の訪れを感じることができます。
夏
山麓の雄大な木々たちに生命力が溢れ、鮮やかな緑色に美しく染まる岩木山の夏。8月中旬頃から1か月程度、岩木山麓の嶽地区でしか栽培することができない「嶽きみ」の最盛期を迎えます。収穫量が限られているため、県外まで出回ることがない嶽きみ、岩木山の寒暖差により育まれた甘さと食感は絶品です。シーズン中は道沿いに10軒以上の嶽キミ直売所が立ち並び、ここでしか味わえない夏の味を求めて県内外から多くのお客さんが訪れます。
秋
岩木山の紅葉は、9月下旬頃から10月中旬にかけて深い赤黄色に染まっていきます。弘前市街地など平野部から見ると、秋の日が進むごとに標高の高い場所から段々と下の方へ色づいている木々が進んでいきます。岩木山8合目まで登れる岩木スカイラインは青森県の紅葉の人気スポットです。10月中頃になると紅葉の中をひたすら30分ほど、8合目までのドライブを楽しむことができます。例年10月頃には岩木山に初雪が観測され、年によって気候などの条件が揃えば、岩木山の上部に初雪、中腹より下は紅葉に染まったカラフルな山を見ることができます。
冬
厳しい冬の寒さと大雪で知られる津軽の冬。岩木山麓、特に嶽地区や湯段地区などは大雪になることも多く、毎日の雪かきが欠かせません。そんな雪の中、地元の人々は冷えた身体を温めるために温泉旅館や温泉浴場に足を運び、雪の中でもポカポカした気持ちで帰路につきます。しんしんと降り続ける雪をずっと見ていると、辺りから音は消え、雪の降る音だけが聞こえてきます。真っ白な冬の岩木で、温泉に浸かりながら、雪の世界を感じてください。厳しい寒さを乗り越えるために生まれた保存食である津軽の漬物や梅干しも、是非宿や食堂で召し上がってください。